きらり輝く元気な企業 第59社
ご紹介する企業は、丸編みニットの最先端をいく、和歌山のニット生地メーカー“信和ニット株式会社”です。
( 信和ニット株式会社 )
今回、取締役営業部長の南方省造さんにお話を伺いました。
( 南方営業部長 )
Q.会社の経営理念について教えてください。
弊社は「信頼されるものづくり」という経営理念のもと、毎日を快適で健康にお過ごしいただける肌着・インナー用の生地の企画・製造をしている会社です。日本の衣料品市場は中国をはじめとする海外製品であふれていて、日本製の商品には厳しい時代となっております。この環境の中で生き抜くために、「機能性」や「素材へのこだわり」など“日本製らしさ”を追求し、お客様に安心・安全で快適な商品を提供するべく、日々努力を重ねています。
Q.事業内容について教えてください。
昭和39年、両脇に縫い目のない小寸編みを得意とするニット生地製造会社3社の統合により「信和ニット株式会社」が誕生しました。和歌山県は全国シェア38%を誇る丸編みニット生地の産地であり、アウター用、スポーツ用、インナー用など様々な用途のニット生地が生産されていますが、弊社は肌着・インナー用のニット生地の企画・製造を得意とする会社です。大手インナーアパレルメーカーや大手スーパー向けの肌着・インナー用のニット生地の企画・製造が主力事業ですが、「紀州肌着」という最終製品の企画・製造・販売も行っています。
( 工場内風景 )
Q.「紀州肌着」について教えてください。
ニット生地メーカーならではの視点から「本当に快適な肌着とは?」を追求し、究極の「温」もりと「着心地」の両立をコンセプトに、普段の生活だけでなく、冬場のスポーツ観戦やご旅行など様々な極寒シーンで活躍するインナーを目指して開発した、信和ニットオリジナルの防寒肌着です。きっかけは、これまで取引先のメーカーを通してしか得ることのできなかったお客様(消費者)の生の声を直接聞きてみたい、という思いがとても高まってしまい、そのためには生地だけではなく最終製品を自ら製造販売する以外に方法はない、と思ったからです。
「紀州肌着」を立ち上げたのは2010年です。試行錯誤を重ね、「スーパーストレッチミラノリブ」という信和ニット独自の編み方を開発。厚地でありながら、着ていることを忘れるようなフィット感を実現させました。また、小寸丸編み機を用いたサイズ別の編立や繊維密度の高いイタリア式の起毛加工、染色加工、フラットシーマーという縫い目のストレスを感じにくい縫製手法など細部にこだわり、「温かさ」と「ストレスのない着心地」を両立させた防寒肌着を完成させました。
糸選びから編立、染色、裁断、縫製、仕上げ、検品という全ての工程を日本の職人・スタッフの手に委ね、肌着という直接肌に触れる商品ゆえに「安心の日本製」であるということもアピールポイントのひとつです。
( 工場内写真 )
Q.今後の展開について教えて下さい。
本業の生地開発・製造に関しては、インナーアパレルメーカーからの要望にしっかりと応えられる開発・生産能力を維持し、そして発展させる努力を続けます。100年以上続く和歌山ニットの歴史を絶やさないよう、これまで培ってきた技術を伝承し、後世に残していく事は非常に大切なことです。人材を確保し、次世代をしっかり育成していくことで、ニット生地製造の伝統と弊社の未来を照らす事ができると思っています。
自社ブランド「紀州肌着」に関しては、自社サイトでのネット販売と百貨店をはじめとする販売代理店様を通じての販売の2本柱ですが、今後はさらに百貨店の販路拡大に努め、全国のお客様に「紀州肌着」を直に手にとっていただき、もっと身近でお買い求めいただける存在にしたいと思っています。また、現在は冬物がメインになっていますので、天然素材にこだわった春夏物のインナーの開発を急いでまいります。
Q.職場の雰囲気について教えて下さい。
職場は先ほど申し上げた技術の伝承のための師弟関係を維持しつつ、一方でとても風通しの良い雰囲気が自慢です。毎年末の大忘年会では、みんな無礼講でおなかを抱えて笑い、社員同士、お互い1年間の労をねぎらいます。また気が向けば、思い立ったように浜の宮でBBQをすることもあります。普段の風通しの良い雰囲気のおかげで、お互いのコミュニケーションがよく取れているので、社員間の垣根も低く、働きやすい職場になっていると思います。
Q.求める人材やキャリアプランについて教えて下さい。
まずはモノづくりが好きな人です。ありとあらゆる生地を、多種多様な編機を使って企画・製造しますのでモノづくりに興味がある人が向いていると思います。次に向上心が強い人です。ニット生地の生産メーカーなので、自分から進んで技術を習得して、新しい生地開発に積極的に取り組んでもらえる人がいいです。弊社は年間800点以上の生地の試作開発を行っています。繰り返し、根気よく試作を続けていく必要がありますので、一緒になって最高の「インナー生地」を作っていける人と仕事がしたいと思います。
キャリアプランについては、弊社にも様々な部署があり、それぞれ方法は異なりますが、編立の仕事の場合、入社後は先輩職人がついてのOJTを中心に、編み機の使い方を覚えてもらいます。だいたい3年くらいで生地を1人で編めるようになります。その後は、適正などをみて、開発や品質管理の部門に配属されることもあります。
Q.現在求職中の方へメッセージをお願いします。
業種や職種は自分自身が「こうしたい」とか「こうありたい」という思いを実現するための道具(借り物)にすぎないと思っています。私の場合は「快適さや健康を提供したい」という思いを、たまたま就職した「繊維業」のなかで実現しているだけであり、弊社で生地の開発・製造、営業を通して、この思いを実現するべく日々努力しています。
就職活動において様々な思いがあると思います。やってみたいことや好きな事があると思いますが、それだけにこだわるのではなく、もっと広い視点で、時間の許す限り、例えば合同企業説明会などに足を運び、出来るだけいろんな企業の方のお話を聞いて見識を広げて欲しいです。そうすることで、ご自身に合った企業、ご自身に合った仕事は必ず見つかると信じています。