きらり輝く元気な企業 第55社
ご紹介する企業は、起毛界の駆け込み寺!“有限会社島本化繊起毛工場”です。
( 有限会社島本化繊起毛工業 )
今回、お話を伺ったのは、代表取締役社長 島本和寬さんと島本和典さん、島本紘伸さんです。
(島本和典さん 島本和寬さん 島本紘伸さん)
Q会社の経営理念について教えて下さい。
「喜びと感動を与えられる起毛商品の開発をする」を経営理念としていて、商品を手にして下さったお客様に深い眠り・快眠を提供できるモノをつくるように心がけています。そして多種多様化、小ロット化の時代に合った感覚を持ち、将来の消費者ニーズや市場の変化に対して柔軟に対応しつつ、「次の世代へ起毛を継承していく」事が重要であると考えています。
Q事業内容について教えてください。
弊社の社名にも入っていますがが、起毛加工を行っています。起毛とは生地の表面繊維の羽毛を出す処理のことをいい、肌触りが優しいタッチになり、生地の厚みが増すとともに保温力もあがります。弊社は日本唯一の「総合起毛メーカー」として起毛加工業をメインに寝装寝具の開発・販売を行っています。
メイン事業の起毛加工業は、弊社の起毛職人(起毛師)が“生地と対話”をしながら起毛作業を行います。糸の産地・種類・時期などによって、生地の性質は全く異なり、作業中は起毛師が、3感覚(視覚・聴覚・触覚)を駆使し“生地と対話”を重ね、生地や機械の調整を行い最良の起毛品を作っています。弊社は複数の起毛機を保有し、生地素材に合った起毛加工を起毛師がするため、綿、麻、絹をはじめ、竹、毛、アクリル、レーヨンなどあらゆる素材の生地に対応できるのが強みです。対応生地の種類が多いことから「起毛界の駆け込み寺」と謳われており、HPを見た企業やデザイナーの方など全国各地から様々な生地の起毛依頼が寄せられます。
また近年は創業より培ってきた独自の加工技術を活かした製品作りにチャレンジしたいと思い、自社ブランド「紀州ねる」を立ち上げ、ネット販売を中心に展開しています。得意の起毛を活かした製品を中心に、冬物商品は「やわらかく暖かい」、夏物商品は「優しい肌触り」のワンランク上の寝具を提供しています。起毛職人が徹底してこだわり、今までに培った技術で最高の商品をつくり、最高の眠りを提供していきたいと思います。
( 工場内 作業風景 )
Qこれからの事業展開について教えてください。
弊社にしかできない起毛加工を通して、新しい技術の開発や新商品作りに注力しながら、起毛加工技術を新しい分野へ取り入れていただける取り組みをしていきたいと思います。
また起毛業界は職人の感覚と経験がモノをいう世界であり、起毛機のオートメーション化は難しいので、若い職人の育成に力を入れて後世に技術を残していきたいです。そのために、機械のメンテナンスや設備投資も積極的に進めていきます。
Q会社の福利厚生や取り組みについて教えて下さい。
会社行事として、年6回社員全員参加の催しをしています。まずは新年会(1月)、食事会(3月と9~10月)、忘年会(12月)の食事会を開催しています。次に2月に社員旅行に行き、一年の労を労って温泉や宴会を楽しんでもらい、5~6月の間にBBQ会を開きます。その他に、夏季シーズンは工場内が暑くなるので、3時頃のおやつにアイスやアイスキャンディーを配っています。また数年前から、誕生日の社員にはケーキをプレゼントしており、社員には大変好評です。
Q求める人材について教えてください。
今年の夏から第2工場も稼動を始め、これからと言うところで、起毛職人を募集しています。職人の仕事なので、コツコツと同じ仕事を継続してできる人で熱心に努力できる人を求めています。織物には規格がありますが、起毛には規格がなく、職人が勘・経験・技能で製品の良しあしを決めます。一人前の職人になるには時間がかかりますが、一緒に日々研鑽しながら最良の起毛品を作っていける人と仕事をしたいと思います。
Q人材育成について教えてください。
この起毛業界を維持するため、起毛職人の育成に力を入れています。新人職人は起毛師とマンツーマンになって起毛について教えるようにしています。素材に合わせた起毛機の活用や針布の使い方が品質を大きく左右します。起毛師がサンプルを作り、その工程を見て視覚で覚え、生地を実際に触って肌触りなどを感覚で覚えてもらいます。そして作業中は適宜、質問を投げてかけて意見を聞いたり、考えさせたりするようにして育成をしています。
創業より培ってきた加工技術を活かした寝装寝具を通して、快眠・深い眠りを提供し、また先見性を持って消費者ニーズを見極めながら新商品の開発や新分野へ挑戦していきます。