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第53回 “目指すは『うまさの先へ』~酒造りに挑戦し続ける老舗企業~”
株式会社世界一統

業種:
製造
職種:
ものづくり/

きらり輝く元気な企業 第53社
ご紹介する企業は、「うまさの先へ」“株式会社 世界一統”です。
  
       ( 会社外観 )
今回は、常務取締役の南方雅博さんと酒造事業部係長の岩城裕也さんにお話を伺いました。
 
    (左:南方常務 右:岩城係長)
Q会社の経営理念を教えてください。
 経営理念は「我が社は限りなき発展とたゆまぬ繁栄をめざして、信用を重んじ、勤勉・誠実・奉仕の精神に徹し、顧客ニーズに即応した事業を展開し、あわせて社員の豊かな生活の実現をめざして活力あふれる魅力ある企業づくりに挑戦します。」です。創業132年の歴史の中で先代から代々引き継いできたものと現代の社会のニーズをどう合わせていくかが重要になっていると思います。「うまさの先へ」というスローガンを掲げ、食文化やライフスタイルの変化に柔軟に対応し、新しいことへ積極的にチャレンジする事が大切であると考えています。
 
        ( 経営理念 )
Q事業内容について教えてください。
 日本酒・リキュールの製造業アルコール全般商品の卸売業を行っています。売上は卸売業が大部分を占めており、地元の酒屋さんへ各種商品を卸しています。まず日本酒は、弊社の社名でもある「世界一統」手間暇かけて醸した高級酒「南方」など様々なブランドの日本酒を造っています。製造はお米の収穫が始まる秋から翌年の春先頃まで行います。弊社は1年間で1度きりの製造であり、追加での製造はしておらず、秋のお米の仕入れ量で1年間の世界一統ブランドの日本酒の市場流通量が決まります。そしてリキュールは、「和歌山県産のくだもの」をコンセプトに商品開発した「和歌のめぐみ」シリーズの製造・販売をしています。このシリーズは紀州で生まれた和リキュールとして、“女性にも飲みやすく 悪酔いしない 健康を害さない ”を考えて造り、ライトユーザーから支持を得えて、幅広くお客様からご愛飲して頂ける商品になりました。
 
       ( 酒蔵 内部 )                   ( 麹 室 )
Qこれからの事業展開を教えてください。
 卸売業については、販売対応エリアは決まっているので、今までお付き合いのある既存のお客様企業を中心に中間流通卸売業に力を入れていきます。そして日本酒造りに関して、今年は南方熊楠生誕150周年ということで記念酒をつくるなど様々な取り組みを行っています。今後も南方熊楠ゆかりの蔵(植物学者として世界的に有名な南方熊楠は世界一統創業者弥右衛門の次男として生まれ、現社長の曽祖父の兄にあたります。)であることを中心に県内外にブランドを発信していきます。また創業よりの伝統の味を引き継ぎながら、「うまさの先」を見据えて、その年その年の世界一統ブランドの日本酒を製造していきたいと思います。
 日本酒は大量生産をせずに、小仕込みで手間隙かけて、精米から出荷までの全13工程を蔵人が丹精込めて作る伝統工芸のようなものです。日本酒の味だけでなく製造過程も伝えていくことも必要であると思うので、今後の日本酒の発展のために積極的に発信していきたいと考えています。

Q職場の雰囲気や取り組みについて教えてください。
 職場の雰囲気はとてもエネルギッシュになっていると思います。近年は若手の社員の人数も増えており、経営理念に「活力あふれる魅力ある企業づくりに挑戦」と掲げているように、若手社員が権限を持って自発的にチャレンジする社風を作っています。「和歌のめぐみ」のネーミングを社内公募して若手社員の案が採用され、また毎年開催している「蔵開き」も企画から運営までを若手社員が音頭を取るなど、若い力を中心に様々なことに挑戦しています。

Q求める人材について教えてください。
 食品を扱う会社なので、食品や食文化に興味のある人です。日本酒製造の部署においては、地元の人だけでなく県外からも求人募集に来てくれる人もいて、約半数は県外出身者であり、社員はお酒造りに情熱を持って取り組んでくれているので、興味をもっている事に対して一生懸命になれる人、やる気のある人を募集しています。
 入社後は先輩社員についてもらい業務を行います。卸関係の部署においてはメーカー企業や全国系の卸売業者との勉強会や社外研修、同業者との意見交換会を開くなどしています。酒製造部署は酒造りのオフシーズンの期間に技術者の交流の場を設けて、利き酒などを通して技術を高める機会を用意しており、社員には社内外問わずにスキルアップできる環境を作っています。

 南方常務お話ありがとうございました。
ここからは代わって、入社4年目の岩城裕也係長にお話を伺いたいと思います。

Q和歌山で再就職した理由を教えてください。
 和歌山県で生まれ、高校生の時に県外へ、そして福岡県に本社のある会社へ就職をしました。前職では東京都の品川に配属され、そこで3年半働きましたが、息苦しさや仕事のやりにくさを感じて、静かな職場でマイペースに仕事をしたいと思い、転職を考えるようになり4年前に和歌山へ帰ってきました。前職はサービス業であったので、モノづくりをして自分の技術になるような職に就きたいと思い転職活動を行い、弊社の社員募集の案内を見て、実家から通勤できる距離だったというのもあり応募し、現在4年目になります。

Q現在の業務内容とやりがいを教えてください。
 主な業務は、日本酒造りのチームの一員としてオンシーズンは日本酒造りをしています。一人前になる(杜氏)まで10年はかかると言われており、毎年、違う工程を担当し勉強している最中です。オフシーズンの夏場はリキュールの製造やお酒のろ過作業を行っています。仕事のやりがいは、データ通りにいかないところです。同じ農家の方が作ったお米でも、その年の天候などの具合で出来が違うので、お米に水を吸わす作業でも秒単位で水量を変える必要があり、例年通りの同じ作業でも思い通りに行かない事が多いですが、それを乗り越えて無事に日本酒ができたときは格別です。そこが日本酒造りの難しいところであり同時にやりがいです。また酒屋さんに弊社の商品が陳列されていたり、居酒屋などで隣の席の人が弊社の商品を頼んでくれたり、飲んでいるのを見かけると嬉しいです。

Q現在就職活動中の方にメッセージをお願いします。 
 会社がどんな仕事しているのか、わからないのが当然です。実際に仕事に就いて業務についてみないと仕事内容の90パーセントはわからないと思います。やってみないとわからないので就職活動をする時にあれこれと条件を絞り込みすぎないで欲しいと思います。
 そして入社したら、とりあえず3年間は頑張ってください。転職することは悪いとは思っていないですが、3年働けば、会社の全体が見えてくると思います。全体が見えないうちに辞めないで、色々な経験を積んで会社が見えてくるまで頑張って欲しいと思います。