和歌山市|企業訪問日記・サイト担当者による事業者のインタビュー記事|第110回  オリジナリティ-を追求し“オンリーワン”を目指す

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第110回  オリジナリティ-を追求し“オンリーワン”を目指す
株式会社 山東鐵工所

業種:
製造
職種:
ものづくり/ エンジニア(機械・設備・IT)/ 営業/

和歌山市のがんばる企業!

企業訪問日記をご覧の皆様こんにちは!
第110回、ご紹介するのは「オリジナリティ-を追求し“オンリーワン”を目指す」を キャッチフレーズとする『株式会社 山東鐵工所』です。
今回は、取締役総務部部長の大久保廣志さんと技術部の友居勇人さんにお話しを伺いました。

会社について

・会社の歴史を教えてください

1920年(大正9年)12月、和歌山市に製材木工機械製造を事業目的として、 山東鐵工所を創立しました。

1946年(昭和21年)10月、資本金480万円で株式会社山東鐵工所を設立しました。

1948年(昭和23年)4月、新たに織物用染色整理仕上機械の製造を開始しました。

1972年(昭和47年)3月、“PERBLE”連続精錬漂白機により、大河内記念技術賞を受賞しました。

1973年(昭和48年)5月、高能率水洗機により、全国発明協会会長賞を受賞しました。

2013年(平成25年)10月、フィルム加工機械分野の製造を開始しました。

2020年(令和2年)8月、インク剥離洗浄機の開発を開始しました。

2021年(令和3年)3月、和歌山県企業ソムリエ委員会より激励賞を受賞しました。

山東鐵工所の目指す姿はどういうものですか

目指す姿のキーワードとして次の4つを定義しています。

1. お客様の声
お客様が、言葉で要望されたことだけでなく、“このように思われているだろうな”ということを 推察して、製品に取り入れることが重要です。この声なきニーズに対し、プロの私たちが提案したり 解決することで、お客様が成功する姿を日々頭の中に描きます。 (声なきニーズとは、お客様の要望、願望、不満、諦め、気が付かない事などを指します)

2. 全社員が一丸
お客様の声なきニーズを解決するために全社員が一丸となります。 同じ目的そして目標に向かって各人が責任を果たし、部門間の隔たりをなくして お互い切磋琢磨し成長します。そして衆知を集め解決を図ります。

3.オリジナリティ-
お客様の願望や不満の解決を図ることで、他社にない違いのあるものが出来上がります。

4.オンリーワン
他社との違いが出来ることで、お客様に数ある同業他社ではなく優先的に当社を指名・採用していただけます。

事業内容を教えてください

当社の事業内容として次の3本柱に力を入れています。

1. 染色整理(繊維)機械
毛焼機、糊抜精錬漂白機、マーセライズ機、染色機、乾燥機などです。
実質製品は、衣類(天然繊維、化学繊維)、デニムなどです。
これらの機械を、インドネシア・タイ・ベトナムなどの東南アジアに進出している 日本企業の現地工場へ輸出しています。日系企業と取引しつつ、現地の企業とも 取引ができるよう営業活動をしています。

2. 産業資材用機械
洗浄機、巻出巻取装置、乾燥(熱処理)機などです。
実質製品は、自動車内装(カーペット、シートベルト、カーシートなど)、 カーテン、自動車部品、2次電池関係、などです。
実質機材は、不織布、化学繊維、高機能紙です。
コンビニの弁当パックに使用する資材を製造する機械なども販売しています。

3. フィルム加工機械
スプライス装置、巻出巻取装置、洗浄機、コーター、乾燥機などです。
実質製品は、ディスプレイ関係、半導体関係などです。
実質機材は、フィルム各種、金属箔などです。
例えば、テレビやスマホの液晶フィルム、セロハンテープなどを製造する機械を販売しています。
今後力を入れていく4つ目の取り組みとして、環境対応・IoT対応の新たな 分野に進出しています。
例えば、節水目的の機械を製造したり、インターネットでつなげて、遠隔操作で機械動かす IoT対応の機械を製造する試みも行っています。
※IoTとは「Internet of Thing」の略で、直訳すると「モノのインターネット」という意味になり、 例えば自動車や家電のような「モノ」自体をインターネットに繋げ、より便利に活用するという試みを示す言葉です。

独自の取り組みはありますか?

1. オーダーメイドによる個別生産方式
日頃からお客様の立場に立って、顧客の様々な要望を掴み、注文に応じてそれに対応する 機械を製造し、販売しています。

2.アフターサービス
一度納入した機械については、随時フォローアップを行っています。顧客と絶え ずアポイントをとり、状況確認しながらアフターサービスに力を入れています。
国内で当社でしか製造しない機械があります。わが社でしかメンテはできません。
製品供給者の義務として、しっかりと後々までフォローしています。

業務と職員構成を教えてください

職種は5種類あります。営業部門10名、資材関係部門6名、技術部門20名、製造部門15名、 総務部門3名、役職2名からなります。全体平均年齢は43歳で、合計56名です。 とりわけ社員の半数以上が30歳代以下で、技術部門20名の内13名が全く違う業種からの転職です。

職場の雰囲気はどうでしょうか

自由闊達に発言できる職場でないといけないという考えで、そのような環境を作っていこうと努めていてます。 休憩時間には冗談を言い合いながら、アットホームな雰囲気になっています。 社長の“働ける間は働いて欲しい”という方針のもとで高齢者を大切にしています。 中途採用も多く、いろんな経験や知見を持っている人を採用しています。

社員の研修(キャリアプラン等)はどうされていますか

社員の研修制度には2つの柱があります。一つ目は外部から顧問として来ていただいた方を 中心にチームとしての年度目標を設定しています。二つ目は追手門学院大学の水野教授を招き、 若手及び中堅職員対象の研修を行っています。1年後の自分の姿を想像して、3か月、6か月、 1年の目標設定をし、毎月の“コツコツ面談” で10分間でもいいので意見を出し合って状況を チャレンジシートにまとめます。年4回行われるスキルマップに展開し、次の目標に向かいます。 必要と思われる意見は、社内の皆が把握できるよう共有します。新入社員には年齢の近い社員を1人付け “里親制度”として、2~3年間教育担当となってサポートし、仕事を覚えてもらっています。 製造する機械は、1品1様(一つひとつの機械の仕様が異なる)なので、機械を作ることの「考え方」を 教えることになります。

福利厚生についてご説明ください

待遇は公正かつ適切で、家族に対する責任を十分果たせるよう配慮しています。 男性社員にも、育児休業の取得を奨励しています。現在、男性2人と女性2人が育休・産休を取っています。
休暇制度も充実しています。年間休日は、119日(原則土・日・祝※自社カレンダーによります)で、 これには慶事休暇と平均12~13日の年次有給休暇を含みます。コロナ前は、機械金属組合や企業間の ソフトボール大会やパンダリレーマラソンなどにも参加しました。3か月に1度の親睦会、新入社員歓迎会、 忘年会なども開催していましたが、今は開催が難しい状況ですが、働きやすくて魅力的な職場環境の 実現に努めています。

今後の目標や計画について

今後の目標や計画はありますか

新しい分野であるSDGsへ挑戦したいと思っています。数年のうちにSDGs対応の機械しか 買ってくれなくなることを意識し、SDGsに対応する機械を作りたいと思います。お客様から、 「この機械には新しい機能は付いていますか?」と聞かれたとき、「はい、最新の機能が付いています」と 言える機械を作ります。 半導体に使われるフィルム等の素材の加工機を作りたいです。

山東鐵工所から就職活動をされている人たちへのメッセージはありますか

どこに就職するにしても、長続きしていくためには周りの環境が大切になってきます。 わが社は、若手社員が多く、自分で責任をもってやっていけるところがあり、やりがいがあると思います。 “自分で考えて行動できる、自信がつく”環境が整っています。やる気のある方、理解力や物事を積み重ねていく 根気のある方、『この部品が壊れたら、どんな事故に繋がるか』等の想像ができる方、学生時代に何かに熱中した 経験のある方、仲間と協力して仕事を進めることができる方、また自分の仕事に責任を持てる方を求めています。

インタビューを終えて

対応して頂いた大久保さんと友居さんは、ともに同じ大手企業から転職されたとの ことですが、高度な知識を持ちながらも、何とも言えない温かい雰囲気をお持ちでした。“責任は上司が負うので、自分で考えて仕事をしなくてはいけない”という 社風は、やる気を出せばどんどん仕事をさせてもらえるということです。オーダーメイドで 自分でアイディアを出して、お客さんに喜んでもらえる“時代を先取りした機械”を作ることは、 とてもやりがいを感じる仕事だと思います。創業100年を越える和歌山の名門企業が、 次の200年に向かって輝かしい仕事をされますことを祈念申し上げます。ありがとうございました。